桜島の北側の鹿児島湾にある姶良カルデラは、約3万年前に超巨大噴火して大規模火砕流(入戸火砕流)を発生し、最大厚さで約150mのシラス台地を形成しました。これにより九州や中国地方の旧石器時代人は絶滅したと考えられています。

姶良カルデラの超巨大噴火は、火山災害だけではなく、現在における恵みももたらしました。観光資源や笠野原台地のような鹿児島県内有数の畑作・畜産地帯などです。

観光資源の一つとして、曽於市にある国指定文化財(天然記念物)の「溝ノ口洞穴」を紹介します。ここは地下水(湧き水)が姶良カルデラ起源のシラス層を長い年月をかけて浸食して造り出した洞窟で、入口の高さ6.4メートル、幅14.6メートル、奥行209.5メートルもあります。

天井部にある多くの穴は「吹き抜けパイプ」と呼ばれ、火砕流中に含まれる火山ガスや水蒸気が上部へ抜けていった痕です。洞穴内には今も湧き水があり、小川となって外へ流れ出ています。

洞穴の前には鳥居が建てられ、洞穴の入口脇には岩穴観音像が祀られています。幻想的な雰囲気のパワースポットにもなっています。

以前に紹介した鹿屋市下高隈にある「観音渕」も、同種の姶良カルデラ起源の洞穴です。ここの湧水は名水として知られています。