NHKのテレビ番組「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?」(2026年1月10日放映)で、「日本人らしさ」という日本人の気質が、巨大噴火などの大災害と深く関係しているという視点から解き明かされていました。

具体的には、最新の地質学や遺伝子研究などの成果をもとに、南九州にある鬼界カルデラの超巨大噴火が、協調性があり不安を感じやすいなどの「現代日本人の気質」や「生活の知恵」とどのようにつながるのかが紹介されていました。その内容のエッセンスを以下に紹介します。


なお、本ホームページでも7年前に「鬼界カルデラの大噴火」を掲載し、最も閲覧数が多い記事となっています。

1 鬼界カルデラの超巨大噴火

鹿児島沖の海底にある「鬼界カルデラ」(直径20kmの海底火山)があり、現在は巨大な溶岩の盛り上がりである溶岩ドーム(平均高さ450m、直径約10km)が海中にあります。このカルデラが7300年前の縄文時代に、過去1万年で世界最大規模の超巨大噴火をして、180km3のマグマを噴出しました。江戸時代の大飢饉の原因となった「浅間山の天明の大噴火」のマグマ量の300倍です。

噴出した400℃の火砕流は今の鹿児島県中部まで達し、火山灰が関東でも1cm積もりました。そして、日本列島で広範囲に気候変動を引き起こしました。

2 超巨大噴火後の呪術的な出土物
縄文時代の遺跡を調べると、鬼界カルデラの超巨大噴火後に、土器石器などの生活道具以外に他地域に産する特殊な石材を使ったけつ状耳飾りや貝輪などの特殊な装身具が出土し始めました。それらは祈りを捧げるシャーマン的な人たちが身に付けていた呪術的な出土物である可能性が高いそうです。巨大な自然災害の恐怖から逃れるために、祈りにより心の平安を得る生活が始まったのかもしれません。

3 前方後円墳は津波防災のランドマーク

日本は地震大国であり弥生時代や古墳時代にも超巨大地震と大津波がありました。古墳時代の西暦350年ころに超巨大地震があり、その頃に造られた前方後円墳は、巨大津波が到達した所にあり、津波防災の道しるべとするランドマークにしたと考えられます。

4 日本人だけが持つ驚きの協調性遺伝子のD-M55

日本人の男性の3割にD-M55という特有な遺伝子があります。その遺伝子を持つ人は協調性があって特別に親しい友達が多く、長期にわたって集団生活をしやすい傾向があります。そのため、集団で協力し合って自然災害を乗り越えて、生き残りやすくしたと考えられます。縄文時代に、今の日本人らしさが形成されたと推測されます。

5 日本人に多い不安遺伝子のS型遺伝子

日本人には不安を感じやすい遺伝子のセロトニントランスポーター「S型遺伝子」を持つ人が81%と極めて多いです。S型遺伝子は不安遺伝子と言われ、幸せホルモンのセロトニンを回収しにくいそうです。そのために危機察知能力が高くなり、不安を解消する”集団性”が発揮されて、生き残りにつながった可能性があります。

6 現在の鬼界カルデラの下にある巨大マグマ

日本列島での巨大カルデラ噴火の発生確率は100年に1%と言われています。鬼界カルデラの巨大噴火を事前に予測するために、地殻の動きを検知する音波発生装置「エアガン」を海底の各所に設置して、全長190kmの光ファイバーケーブル網で数mmの変化を捉えられるようにしています。それにより地下20kmまでのマグマの位置と大きさを検知できます。

現在の鬼界カルデラの海底には猛烈に火山ガスが湧き出ていて、海底温度が50℃になっています。またその下のマグマ溜まりには400km3の大量のマグマがあることが2025年に分かりました。

(文責:朝倉悦郎)