鹿屋市祓川町にある大園橋は、我々が国道504号を通る際に美しい姿を楽しませてくれる、珍しく貴重な文化財であり、豪雨などにも約120年間耐えてきた歴史的な建造物です。

橋の両端の親柱には、漢字と変体仮名で橋の名前と竣工年月が彫られています。大園橋から見た上流側と下流側は、以下のような景色です。

昨年7月の豪雨で肝属川にかかる大園橋に流木が引っかかり、近くの民家が床上浸水した原因になったとして、鹿屋市で市指定有形文化財である大園橋の撤去の検討が始まるとの新聞報道がありました。

この新聞報道を受けて、文化財の調査や保護活動に取り組んでいる大隅史談会では、9月20日(日)に役員が大園橋に集まり、大園橋と昨年の水害の状況について学び、今後の文化財としてのあり方と水害対策について意見交換しました。
そのために、地元の方から川の氾濫時の状況や昔の流木対策などをうかがったり、水系を視察したり、石材加工の専門家から橋の石材と建造法などを教えていただきました。

橋の石材の大半は高須産の荒平石(阿多溶結凝灰岩)であり、優れた技術によりできた堅牢で貴重な建造物です。明治時代に高須から祓川まで、多量の荒平石を馬車で運んで、匠の技を持つことで有名であった伊敷(鹿児島)の石工が橋を組み立てたのでありましょう。
中央の橋脚には、流木が引っ掛かりにくいように凸部(水切り)が作られていましたが、その上部と前部の石が流失していることも知りました。

参加者で意見交換したら、床上浸水した原因とその防止対策がいくつも出ました。そこで、今後の大園橋のあり方について鹿屋市の方針を決める際には、専門家だけでなく関心のある市民も巻き込んで、慎重かつ多角的に検討していただきたいとの意見が多数を占めました。

なお、当日は一般市民の方がたくさん、大園橋の見学にみえていて、中には鹿児島市から来た青年もいました。多くの方が大園橋へ関心を持たれていることが分かりました。

大隅史談会では、11月に大園橋についての現地研修会を開催する予定です。詳細が決まりましたら、案内を出しますので、ご興味のあるの方は奮ってご参加下さい。