『大姶良の歴史と文化』と題する冊子を、鹿屋市観光物産総合センタ-で入手しました。読んで最も感銘を受けたのは、大姶良村初代村長・竹内三平の行動、精神と後輩への影響についての以下の記述です。
” 寡黙で「不言実行」を旨とし、政治家にありがちな公金をはじめ金銭に関するトラブルは一切なく、金銭面での潔白さを身上とした。売名行為とは無縁のところで人材の養成や発掘には私財を投じ、その精神が後進に生かされて、永田良吉氏(第12代村長、県議、第2・6・7代鹿屋市長、代議士)、池田俊彦氏(学習院教授)、五代貞直氏(教育者)、大川喜之助氏(茶業界の恩人)、中島万助氏(産業組合育ての親)、津崎長角氏(産業組合の振興)等の人物を輩出させている。”
上記の文によると、大姶良の竹内三平という一人の高潔なリーダーに感化された多くの後輩が、その後、大隅の政治、行政、教育、産業などの様々な分野のリーダーとして、目覚ましい活躍をしました。竹内三平は、明治維新で重要な働きをした若者達に思想的影響を与えた吉田松陰のような人ではないでしょうか。
この偉大な竹内三平について詳しく知りたいと思い、ネット検索し、図書館資料を渉猟し、大姶良の老人に会うと尋ねたりしましたが、残念ながら関連情報を入手できませんでした。
大隅各地にこのような優れたリーダーがいたはずですが、そのリーダーを知るまとまった資料はないようです。郷土資料館のような、郷土の偉人に触れられる施設の設置が望まれます。
鹿屋出身のノンフィクション作家・大場昇氏も、以下のような提言をされています。
「郷土の偉人を知り、郷土を知ることから郷土への愛着は生まれる。若い世代が郷土を広い視野でとらえ、そこに生まれた意味や誇りを感じ取り、そこで暮らしていきたいという気持ちになれるような場所があっていいのではないか。」