毎年11月3日に、約900年の伝統を持つ岩川八幡神社の弥五郎どん祭りが行われています。南九州の八幡系神社の農村の秋祭りに伝えられる巨人人形行事の一つです。

養老4(720)年、隼人の抗戦を朝廷軍は鎮圧しましたが、この戦いで敗北した隼人達の霊を供養する放生会が行われたのが始まりとされています。

弥五郎どんは身長4メートル85センチ、白い顔に黒髭を生やし、梅染めの茶色い衣を着て、腰に大小刀を差します。

弥五郎どんが何者であるかについては諸説があります。一般には、朝廷に抵抗した隼人族の首領とも、朝廷側の竹内宿禰とも言われています。

「大隅」第63号には、古代史研究家の内倉武久氏が、「武内宿禰とは何者なのか ーその実在性と出自とについてー」と題する論考を書かれています。その中で、岩川八幡神社に武内宿弥が祭られているのは、”「全国で鹿児島一帯しか熊襲族の内氏が集中する地域はなく、その内氏族の象徴的な人ととらえた「武・内宿禰(たけし・うちのすくね)」の故郷、あるいはルーツの地と考えざるを得ない”と、その関連を記されています。