大隅を車で走ると、天然石の塀がよく見られます。この石の多くは、荒平石と呼ばれている阿多溶結凝灰岩です。
武家屋敷の塀や倉庫の壁や石橋にこの石がよく使われました。荒平石の建造物は重厚感があり、景観に気品と落ち着きを与えています。
戦時中は採石場近くまで引き込み線が敷設され、空爆で開いた穴を埋める石として、貨車で海軍航空隊の基地などに運ばれたそうです。
荒平石の採石場跡は、荒幡天神から海岸通り(佐多街道)を少し南に行った所の集落(天神町)の奥から、右手の山沿いの道に入るとあります。今はアジサイで有名な「いこいの里園」がある所です。
昭和40年(1960年)ころには、この道沿いにほとんど連続して40余ヶ所の採石場がありました(地質調査所資料より)。
しかし、安価なコンクリートブロックが出回り始めてから、採石場の経営が成り立たなくなり、採掘を止めました。